ベリーダンスの種類・ジャンルについて
現在のように、「ベリーダンス」という名称で呼ばれるようになったのは、最近のことです。
もともと、紀元前エジプト・ペルシャ帝国あたりで生まれたと言われており、古代文献や壁画に踊り子が登場するものの、実ははっきりとした発祥地・時期はわかっていないと言われています。
ベリーダンスという名称で呼ばれる前は、「ラクス・シャルキー(=東洋の踊り)」という名称で親しまれ、愛されてきたダンスです。
諸説では、ベリーダンスが生まれたと言われるエジプシャン・オリエンタルスタイルがまず確立し、その後イスラム・ヨーロッパへまず広まり、長い時間をかけてアジア~アメリカに至るまで、全世界へ伝わるのですが、その過程でさまざまなジャンルに分化していきました。
代表的なものだけを上げて説明していきますと
①エジプシャン・スタイル
②ターキッシュ・スタイル
③ジプシー・スタイル
④アメリカントライバルスタイル
⑤フュージョンスタイル
以上5つがあります。
①エジプシャンスタイル
もっとも伝統的で優美、ソフトで詩的、まるでペルシャ時代の神話の中に迷い込んだような神秘的な印象のスタイルです。
衣装は、他のスタイルに比べあまり露出せず、ブラ、タイトなスカートにスリット、アームカバーや幅広のヘッドバンド、露出を抑えるため、ブラとメッシュ素材のトップスを重ねたりもします。
素材はサテンやジョーゼットシフォン、ラメ、スパンコールなど、輝く素材が好んで使われます。コインやビーズワーク、ラインストーン、スパンコール、刺繍等の、華麗な衣装が大変多いです。
小道具では、アサヤとよばれるステッキを華麗に扱う派生スタイルもあります。
また、必ず素足で踊り、フロアワーク(床にひざをつく・寝そべる)などのムーブメントはありません。
柔らかく、独特の雰囲気に包まれ、華麗なステップも多く存在します。
ソロ・即興で踊られることが多く、優雅でエレガント、かつ繊細で、結婚式やパーティー、フォーマルな場にも似合うスタイルです。
②ターキッシュ・スタイル
エジプシャンスタイルをベースに発展した、ダイナミックでパワフルなスタイル。
肌の露出は多めで、タイトなスカートスタイルより、マーメイドラインかフレアラインのスカートに大胆な深いスリットが入っているものが多く、素材はサテンやジョーゼットシフォン、ラメ、スパンコールなど、輝く素材が好んで使われます。
ブラにビーズが垂れ下がるようなパーツが多くあしらわれ、ダイナミックな動きに似合う、煌びやかな衣装が多いです。
またヒールのある靴を履くこと、ベール(布)やファン(扇)、ジル(指先で鳴らす小さなシンバル)などの小道具も特徴として挙げられます。
大胆な動きから生まれる勢いのある雰囲気と、巧みな技術で観客を魅了するスタイル。
フロアワークもふんだんに取り入れらます。
夜の屋内、薄暗い明かりの中でセクシーに踊るシチュエーションが一番似合うスタイルです。
・・・以上の2つを、大きく分けて「オリエンタルスタイル」と呼びます。
③ジプシー・スタイル
エジプシャンスタイルから発展し、ヨーロッパに渡る過程で生まれた、ジプシー(遊牧民)の伝統舞踊として確立されたスタイル。
一節では、フラメンコのベースになったとも言われています。
衣装は、コットン素材のロングスカートやチョリ(胸までの長さのトップス)、ビーズ刺繍やストールなどの装飾品、木や羽、天然石などのアクセサリーを用いたものが多いです。
とくに特徴的なのは、パフスリーブのトップスに25ヤードスカートと言われる、段ギャザースカートを着るところ。
小道具はジルやタンバリン、カスタネットなど、様々で、素足やピシピシ(ぺたんこシューズ)で踊ることが多いです。
動きはダイナミックで、くるくると回るターンの要素が多い他、スカートの端を持ち上げる動きも入ってきます。ジプシー独特のリズムに乗って、スピード感のある踊りも特徴です。
ナチュラルで自由奔放、太陽の下で打楽器とともに踊られるイメージのスタイル。
④トライバルスタイル
アメリカに「オリエンタルダンス」が渡ってから、独自の進化をしたスタイル。それまでのスタイルとは対照的に、女性の力強さ・媚びない鋭さを前面に押し出した世界観が魅力です。
衣装は、基本的にはモノトーン、もしくはナチュラル~原色などの民族的な色合いで、コットン・麻・ウール、ベロアなどのマットな素材が用いられます。装飾は金属、ビーズ、ガラス、貝、羽、骨、木、鏡などが多く使われます。
ブラは比較的シンプルな装飾で、下はハーレムパンツが多く、スカートの場合は下にパンツを重ねたり、レイヤード(重ね着)を多くするのも特徴。
また、豪華なヘッドバンドと、囲み目メイクやタトゥーも多く取り入れられ、まさにパワフルウーマンな印象です。
小道具はジルが用いられることもあります。
ダンスのムーブメントは独特で、柔らかさよりは力強さを前面に出した動きが多く、一番の特徴は、腕の角度や背中を大きく反らせるムーブメントが多く入る事です。
実は難易度が高く、オリエンタルスタイルをある程度習得した方がトライするスタイルと言っていいでしょう。
④フュージョン・スタイル
上記の3つのスタイルのどれでもないもの、また、様々なダンスとの融合したスタイルを、大雑把に「フュージョン・スタイル」と呼んでいるようです。
代表的なものは、トライバル・フュージョン、ゴシック・トライバルですが、無限にあると言われ、
HIP・HOP、バレエ、レゲエ、サンバ、フラメンコ、ヨガ、インド舞踊、フラダンスなどなど・・・他ジャンルと融合したスタイルは、数え切れないほどに日々生まれているようです。
日本ではあまり習えるところが充実しているとは言えないものの、独自の進化を遂げて、ダンサー人口を爆発的に増やしているジャンルもあるとか。
代表的な5つのスタイルについてお話しました。
ちなみに、ラピスラズリのジャンルは「ターキッシュ・スタイル」です。